死者の霊魂のこと。一般に生者は死霊に対して恐怖心をいだくことが多く、その扱いによってはなんらかのたたりをなすものと信じられている。人が死ぬと霊魂は肉体から離れるものと考えられているが、日本では息を引取ると死霊を再び肉体に呼戻すために、魂呼ばいを行う。

これは屋根に上って死者の名を呼んだりするもので、これを行なったのち初めて死を確認するが,死霊は肉体を離れても 49日間屋根棟にとどまっているといわれている。そのため葬式の儀礼には死霊が再び帰ってこないようにする呪術的な要素がある。出棺に際して仮門を造り、そこから棺を出したあと、それを破棄して死霊にどこから家を出たかわからないようにする。同様に野辺送りの行きと帰りの道を違えたりする。

一般に死霊のなかでも,特に現世に恨みを残して死んだ者や祀り手のない者の霊はたたると考えられていた。山野に餓死した者の霊は餓鬼となって人に取付くといわれる。また海で遭難した人の霊は船幽霊となって現れて水を求め、その際穴のあいた柄杓 (ひしゃく) を渡してやらないと、水船にされて沈んでしまうといわれる。

一方、人の死後 33~50年たつと死者は祖先として一種の神のように考えられた。すなわち死霊は個性を失い祖霊に合一するものとされた。埼玉県や静岡県ではこのとき地神となるという地域がある。死霊は古代から黄泉 (よみ) の国、常世の国に行くものとされていた。沖縄では海のかなたのニライカナイという聖地がこの常世の国にあたるとされている

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