火葬炉

火葬を行うための設備。主燃焼室と再燃焼室で構成され、排ガスを処理する設備が備わる。

火葬炉の構造

現在の火葬炉は、大きく「台車式」と「ロストル式」の2種類に分けることができます。いずれも異なる長所と短所を有しており、火葬場設置者の判断によって選択される。平成に入ってから建設された火葬場では、97%以上の施設で台車式が採用されており、ロストル式を採用した施設は3%未満。また、これまでロストル式を使用してきた施設でも、老朽化で改築した際に台車式に変更した例もある。

点火に先立ち火葬場職員が押すボタンは(施設によっては遺族が押す場合もある)直接の点火ボタンではなく、作業員に合図を送るためのボタンである。この合図を受けた作業員は安全確認後、点火する。台車式が60分を要するのに対し、ロストル式は40分で焼ける。火葬終了後、30分程度の冷却を経て遺族に遺骨を引き渡す。火葬時間を短縮するだけであれば、火力の設定を高くすればよいのだが(現在の火葬炉は1500℃まで設定可能)、温度が高すぎると骨まで焼けて遺骨がきれいに残らない。遺骨をきれいに残すには設定温度を低めに設定し時間をかけて火葬すればいいのだが、仮に頭蓋骨や骨盤はきれいに残っても、骨壺には入りきらない。かつ、800℃以下の場合はダイオキシン、1000℃以上の場合は窒素酸化物の発生が懸念される。火葬炉も大気汚染防止法やゴミ焼却炉などの規制による数値をもとにした地方自治体独自の規制に則している。また、ダイオキシンに関しては国のガイドラインも遵守しなければならない。

台車式

車輪を有する鉄製枠の上面に耐火レンガまたは耐火キャスタブル製の床板を張った台車が炉室床の機能を有しており、その台車上に、五徳などを挟んで棺を置き、台ごと火葬炉に入れて焼く方式である。焼却開始直後は棺の下側からもバーナーの炎にさらされるが、棺が燃え尽きた後の遺体下面にはバーナー炎が廻り難いので、骨化するまで時間がかかる。ロストル式が約40分に対し、台車式の場合は約60分を要する。

しかしながら、骨はあまり落差のない台車上に落ちるためにばらばらに散乱することがなく、ほぼ人体形状を保ったままきれいに残るという特徴がある。遺体がほぼ骨化した後は台車面にもバーナー炎が到達するので、汚汁や難燃部位の不完全燃焼は生じにくく悪臭が少ない。ロストル式はもともとは、遺骨に対する扱いが全く違う海外から来た方式である。遺骨を残さない海外に対し、日本では釈迦が荼毘に付された時の遺骨を残す燃やし方である当時のインドの習慣から発生しているため遺骨が大切にされる。このため、現在の日本の火葬炉は台車式が主流になりつつある。

遺族参会者が立ち入る炉前ホールと火葬炉本体の間に「前室」を設けるのが最近の傾向であり、前室有りの場合は遺族参会者の目に触れることなく炉内工事や清掃、台車整備、火葬後の台車と焼骨の冷却、残骨灰の処理を行うことが可能であり、炉前ホールに漏れる燃焼音、熱気、臭気を極めて小さくできる。建設費はロストル式と比して高額になる。

火葬場により異なるが、1炉/1日あたりの火葬可能数は2~3体としている施設が多い。これは台車の冷却・清掃に要する時間に余裕をもたせたり、炉前ホールや収骨室で他家の参会者同士が輻輳したりしないように動線時間に余裕をもたせるなど、参会者の安全衛生確保と心情に配慮した運用上の事由に因るもので、技術的には1炉/1日あたり4体以上も可能である。

ロストル式

炉内にかけ渡した数本の金属棒で作られた格子の上に棺を直接載せて焼くという方式である。「ロストル」とは、食品を焼く網やストーブ等の火床格子を指すオランダ語の「rooster」が語源である。

人体のうち腹部の大腸、小腸などの内臓部分は水分が多くここだけは焼けにくい。しかし、ロストルと炉底部の骨受皿の間は数十センチの空間があるため、棺が燃え尽きた後も炎は遺体の下にも回り、台車式より短時間で骨化することができる。しかしながら、骨は格子から落差がある骨受皿に落ちるため、多くの場合位置関係はばらばらになる。ロストルは間隔の広い格子状なので、遺体下面の燃焼が促進されるが汚汁や難燃部位が骨受皿へ落下しやすい。骨受皿は構造上バーナー炎をあまり当てられないのでロストル位置より温度が低く、落下した汚汁や難燃部位が残りやすいので悪臭を生じやすい。

前室を設けるのは骨受皿を炉前ホール側へ引き出すタイプでは技術的に困難であり、炉前ホールに漏れる燃焼音、熱気、臭気が大きい。建設費は台車式と比して低廉である。また、骨受皿を入れ替えれば炉内を冷却する事なく次の火葬を開始可能なので熱効率が高い上に1炉/1日当たりの火葬回数を多く出来る。東京や京都の大規模火葬場ではロストル式を採用している施設が多い。ホールで他家の参会者同士が輻輳することが避けられないが、京都中央斎場の様に1炉/1日あたり最大5体の火葬を実施している施設がある。

国内火葬炉メーカー

・富士建設工業株式会社 (新潟市) - 特許多数保有し、日本国外へも進出。
・宮本工業所 (富山市) - 無臭火葬炉で特許をもつ
・太陽築炉工業 - 火葬炉本体とコントロールシステムのハード・ソフトともに自社開発製品である。
・高砂炉材工業(東京都中央区)
・開邦工業(沖縄県うるま市)

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