

事前に備えをしておくことで、その時になって慌てることなく行動することができます。この記事では、葬儀のために事前に決めておけることや、決める際に知っておきたい事をご紹介します。
目次
死亡届けの提出
死亡届けと死亡診断書は1枚の用紙(A3サイズ)に併記されています。右側の死亡診断書の方には、死亡時刻、死亡場所、事由(じゆう)などが記入され医師の署名(捺印)がされています。死亡届の方には、必要事項を記載する空欄があり、これに必要事項を記載して下記の内容で関係の役所へ届けます。その際、死亡診断書の原本は役所に提出することになりますので、あらかじめコピー2~3枚をしておきましょう。
「埋火葬許可書」を受け取る
「埋火葬許可書」が交付されます。火葬執行の際、「埋(火)葬許可書」がないと火葬を行うことができません。失くさないように管理しておきます。
また、火葬終了後、「埋火葬許可書」に、火葬場執行の日付け及び捺印された形で、係員から返還されます。納骨の際、墓地管理者への提出が必要になりますので大切に保管してください。

遺影写真の準備
遺影写真とする元の写真を探しておきます。写真を選ぶ中でもっとも注意しなければならないことは、本人らしさが出ていることです。多少年数が経っていてもその人の人柄がにじみ出ているようなものが良いでしょう。
一般的に、正面を向きピントの合っているものを数枚探します。
赤いネクタイなら黒にして、喪服を着せるというのが少し前までの遺影写真のパターンでしたが、最近では黒ネクタイに喪服といった遺影写真よりも生前の本人らしさを残しておく理由から、桜などが映る風景をバックにラフな服装で微笑んでいる遺影が多くなっています。そのため、ほとんどがカラー写真になっています。
コンピューター技術で遺影写真を
遺影写真の原稿は、結婚式などの絹目(きぬめ)の写真は適していません。最近ではコンピューター技術を使った遺影写真が作られることが多くなりました。
その為、以前なら不可能だった頬の前にある手や膝に抱いている子供を消去するなどの修正ができるようになっています。
遺影写真を作るときには、なるべく顔が大きく写っているものを選びます。元の原稿をスキャナーで取り込み引き伸ばすからです。
納棺について
ご遺体を棺に納めることを納棺といいます。
納棺に間に合わなかったことを悔やむ親族もいますので、納棺には遺族・親族が集まることができる日時を選定することが重要です。[*1]
大切な方や重要な方には必ず納棺の日時をお知らせし、間に合わない場合には事前に行うことの了解をとっておきます。
納棺にあたっては、故人の愛用していた物などを一緒に納めます。ただし、金属製品、ガラス製品や分厚い辞書のようなものは燃えにくく、遺骨に付着することがあるので避けます。[*2]
納棺にあたり故人が好きだった洋服や着物などをご遺体の上からかけてあげてもよいでしょう。この時、着物なら裾の部分を胸にし、襟の部分を足元にし逆さにかける風習や慣わしがありますがこだわる必要はありません。
最近では、葬儀社との打ち合わせ後に葬儀社が納棺を行うことが多くなりました。葬儀プラン内容やオプションによって葬儀の金額が変わるからです。
[*1]ご遺体の状況や季節によっては、直ぐに納棺が必要な場合もあります。
[*2]各地域の火葬場使用事項に基づき納めることをオススメします。
銀行口座について
金融機関などに預けてある故人名義の預貯金は相続(そうぞく)の対象となります。
金融機関に亡くなったことが知れると、預貯金を引き出すことが出来なくなります。相続の権利が確定するまでは、複雑な手続きと時間がかかります。長年、故人とともに生活をしてきたからといっても、故人の遺産は相続人全員のものですから勝手に使うことはできません。
故人名儀の預貯金を当座の資金として使いたいときは、臨終や死亡直後に引き出すことです。但し、相続が絡む問題ですので、相続人などの了解をてっておくことが大切です。

お葬式の形式を決める
日本国内で行うお葬式の約90%が仏式
お葬式の形式は特定の宗教・宗派による形式と、宗教者を呼ばずに行われる無宗教の形式の2つに分けることができます。
特定の宗教・宗派による形式とは、僧侶などの宗教者に式を任せてしまう方法です。私たちがよく目にする多くのお葬式はこの方法で行われています。仏式・神式・キリスト教などによって行われます。
財団法人日本消費者協会の平成11年(1999年)から平成22年(2010年)の統計によれば葬儀形式の約90%が仏式で行われています。
無宗教形式とは
無宗教形式による葬儀とは宗教者のいない葬儀形式です。故人とその遺族を中心に、故人の死を悼み、残された遺族と親しい方々が故人を忍び送ることに重きをおかれます。
式の進行にはこれといった決まりごとはなく、遺族らが式の進行をきめることができます。
故人が中心のお葬式
無宗教形式の多くは、祭壇は飾っても宗教形式をとらずに通夜・葬儀式を行ったり”お別れ会”などという形をとります。そこには宗教者(住職・神官・牧師)は呼ばず、またお葬式で一般的に使用される白木祭壇は使用せず、故人(柩)や遺影写真が中心となり生花の祭壇を用いられることが多い。
お葬式の場所を決める
お葬式では、まず式場を選定することから始めなければなりません。自分たちが望む葬儀の規模によっては、近隣周辺の方々にご迷惑をかけることとなり自宅ではできない場合などがあるからです。しかし、自宅以外での場所では、金銭的に家族の負担が多くなることも事実です。また、自宅から送り出してあげたいという家族の心情も踏まえたうえ。どこでお葬式をするかを考え選択することになります。
そのことから、式場を自宅で行うのか、自宅以外の場所を式場に選定するのかが、もっとも優先されることとなります。自宅以外の場合には、使用する式場の利用状況により、予定していた日程が変わることになります。
葬儀式場に利用される場所
- 自宅
- 集会所・公民館
- 公営斎場
- 宗教者関連施設
- 葬儀社運営の葬儀専用式場
上記の5つです。
費用面でいえば、①→②→③→④→⑤の順番で高くなっていきます。
自宅での葬儀
近年、都市中心部では中規模(参列者100名程度)葬儀が自宅で行われるケースが珍しくなってきました。背景には、住宅事情や地域の希薄化などが反映しています。
自宅で葬儀を行うにあたっては、近隣の方に迷惑をかけないことを心がけることが必要です。しかしながら、まったく迷惑をかけないことは不可能です。自宅が式場になることが決まったら、ご近所への挨拶に廻ります。
中規模葬儀の式場設営に必要なスペースとしては、江戸間(1畳の大きさ176cm×88cm)の大きさで6畳間×2間の続き間スペースが最低必要となります。また、自宅での葬儀には受付の場所を確保することも重要となります。近所のお宅をお借りしたり、戸外にテントを立てて場所を作ることとなります。
参列いただく方々への駐車場を確保したりする必要性もあります。少なくとも親族分は確保します。多くの参列者が見込まれる場合には、事前に警察署に道路使用許可の申請が必要な場合もあります。
自宅周り(樒・花輪)の飾りや足元を照らす投光器などを設営する場合には、必ず隣の家の方に了解を得て飾らせてもらいます。
自宅での葬儀は、ご近所へのご挨拶を忘れずに
「昨晩、祖母が逝去いたしました。お葬式は明後日に自宅で行うことになりました。入院中から自宅に帰りたいと申しておりましたので、自宅から送ってあげようということにました。何かとご迷惑をおかけすることになるかと思いますが、よろしくお願いいたします。」といったちょっとした声掛けを忘れずに
集会所・公民館
公民館や集会場などを借りる場合は、通夜当日の朝から葬儀当日の夕方まで借りておきます。利用するにあたり料金の確認・支払方法・慣例については、管理者などに聞いておきます。多くの場合、お葬式は各種行事や会合に優先して利用できることができますが、先約の先約の方などに電話で連絡を入れておくことが大切です。
また、自宅でのお葬式と同様に、受付のスペース・参列していただく方の駐車場の確保が大切です。また、各種備品や冷暖房の確認が必要となります。
公営斎場
自宅での葬儀に比べて、葬儀専用式場でのお葬式の利点は自宅を整理することなく近隣に迷惑をかけないで済むことです。葬儀が終了すれば、すぐに日常の生活リズムに戻ることが可能です。
公営斎場(葬儀専門式場)は、全国に数多くあります。式場使用料は低価格で市民の便宜に供することを目的にしていますが、使用上の制限が設けれれている場合もありますので、葬儀社や受付窓口で確認をします。
公営式場の申込みは、各自治体の市民課や生活環境課などに問い合わせます。また、いくつかの市町村などが共同で運営していたり、第三セクター方式を取り入れている式場もあります。
火葬場に併設の式場もあります。使用料金についてもまちまちですが、5万円~80万円まで様々です。
宗教者関連施設
寺院や宗教者関連施設でのお葬式も多く見られます。ただし、多くは檀家・信徒に開放されているケースが多く、他宗教の信徒には開放されていない場合もあります。地方ではお葬式の大半を寺院などで行われていますが、都市部などでは数%しか利用されていないというデーターもあります。
近年、都市部を中心として宗教・宗派などを問わずに寺院を葬儀式場として開放しているところも多くなりました。利用料は通夜・葬儀の2日間で15万円~200万円。

葬儀社運営の葬儀専用式場
公営斎場と同じく自宅での葬儀に比べて、葬儀社運営の葬儀専用式場でのお葬式の利点は自宅を整理することなく近隣に迷惑をかけないで済むことです。葬儀が終了すれば、すぐに日常の生活リズムに戻ることが可能です。
葬儀社運営の葬儀専用式場は、全国に数多くあります。式場使用料は各業者様々ですお近くの運営葬儀社へ直接確認することをおすすめいたします。